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【2026年版】タイヤ関連銘柄10選|エアレスタイヤ技術|ブリヂストン等を特許情報から導出

 タイヤ技術において、エアレスタイヤとか非空気タイヤと言われる種類のタイヤがあります。

 空気を使わないタイヤであり、パンクしません。

 タイヤ業界のゲームチェンジャーとなる可能性があります。

 エアレスタイヤの時代が来た場合に有望な企業はどこなのか?

 特許出願件数から探ってみました。

 

 結論(簡易版)は以下の通りです。

 ここで、本記事における『有望企業』とは、対象技術の開発時期、継続性および蓄積の3指標から将来の市場独占や他社に対する参入障壁を築けると判断される上位企業(TOP10にランクインする企業)を指します。

<特許銘柄TOP10>(2000年-2023年)(非上場を含む)

ブリヂストン:米国拠点(アメリカズ)を含め、技術蓄積で他社をリード

TOYO TIREと住友ゴム工業:開発速度を加速させブリヂストンを猛追

 詳細は記事中の情報をご参照ください。

1 ブリヂストン 【5108】
2 TOYO TIRE 【5105】
3 住友ゴム工業 【5110】
4 ブリヂストン アメリカズ 
5 横浜ゴム 【5101】
6 ミシュラン 【ML】
7 グッドイヤー 【GT】
8 日産自動車 【7201】
9 シーシーアイ 
10 前田シェルサービス 

 ただし、上記結論は特許検索条件などによって変わってくることがあります。

 詳細については下記をご確認ください。

 

 

1.本評価の概要

 本評価は特許情報に基づき、対象技術の開発に関わる銘柄(本サイトでは「特許銘柄」と呼びます。)を客観的に導き出そうとするものです。

 本評価については以下の記事で紹介しています。

【開発力評価メソッド】特許出願に関する情報から技術開発に関わる銘柄を評価

 簡単に説明すると、以下の考え方に基づいています。

開発開始時期:最初の出願が古い→早くから開発に着手(古いほど評価高い
開発継続性:出願が継続→技術開発が続いている(継続するほど評価高い)
開発成果:出願件数が多い→開発成果が出ている(成果が多いほど評価高い)

 すなわち、どこよりも早くから出願され(①)、毎年出願されていて(②)、その件数が多い(③)ほど、評価される銘柄だと考えます。

 これらは、技術開発によって技術課題を解決する道筋が見えると、その成果が特許出願されるという前提に立っています。

 

 本サイトでは個々の特許は評価対象にしていません。

 本サイトは特許出願件数を指標にして技術を生み出し続ける力(開発力)を評価するものです。

<注意点>
 特許出願件数に基づく企業の開発力の評価には以下の問題点がありますので十分にご注意ください。
・単に出願件数が多いだけの企業を過大評価することがあります。
・個々の特許を評価対象としていないので、価値の高い技術や特許を保有する企業を過小評価することがあります。
・現実には開発成果が特許出願されない場合があります。
・対象技術が特許出願された場合であっても、特許検索において情報漏れが生じることがあります。
・特許検索において対象技術との関連性の低いノイズ情報を拾ってしまうことがあります。
・対象技術の市場性や対象企業における影響は別個判断が必要です
(まとめると、ざっくりとした評価であり、間違いもあります、ということです。)

 

2.特許銘柄の評価方法

2.1 評価対象

 エアレスタイヤに関連する技術が対象です。

 

2.2 特許検索ツール

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

2.3 検索条件

 文献種別:国内文献

 検索キーワード:

  検索項目(ⅰ) FI「B60C」

  検索項目(ⅱ) 請求の範囲「エアレスタイヤ ソリッドタイヤ 非空気」

 検索条件:検索条件(ⅰ) AND 検索条件(ⅱ)

 日付指定:出願日 20000101~20231231

 

3.特許銘柄の評価結果

3.1 期間別の出願件数の推移

 2000年~2007年、2008年~2015年、2016年~2023年の3つの区間に分けました。

 各期間における総出願人数と総出願件数は以下の通りです(出願人数は筆頭出願人のみカウント)。

 

 出願件数、出願人とも直近で上昇しています。

 

 各期間の出願件数上位企業は以下の通りです。

(1)2000年~2007年

 出願人数22のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表1です。

<表1>

横浜ゴム 2.4 件/年
ブリヂストン 1.9 件/年
住友ゴム工業 1.3 件/年
シーシーアイ 0.6 件/年
TOYO TIRE 0.6 件/年

 

(2)2008年~2015年

 出願人数30のうちの上位5社の推移です。 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表2です。

<表2>

ブリヂストン 11 件/年
TOYO TIRE 7.6 件/年
住友ゴム工業 3.4 件/年
横浜ゴム 2.5 件/年
ミシュラン 0.6 件/年

 

(3)2016年~2023年

 出願人数45のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表3です。

<表3>

住友ゴム工業 8.0 件/年
TOYO TIRE 7.9 件/年
ブリヂストン アメリカズ 5.9 件/年
ブリヂストン 4.6 件/年
グッドイヤー 3.5 件/年

 

(4)出願上位企業の推移

 下の表4は表1~表3をまとめたものです。

<表4>

  2000年~2007年 2008年~2015年 2016年~2023年
1 横浜ゴム
(2.4 件/年)
ブリヂストン
(11 件/年)
住友ゴム工業
(8.0 件/年)
2 ブリヂストン
(1.9 件/年)
TOYO TIRE
(7.6 件/年)
TOYO TIRE
(7.9 件/年)
3 住友ゴム工業
(1.3 件/年)
住友ゴム工業
(3.4 件/年)
ブリヂストン アメリカズ
(5.9 件/年)
4 シーシーアイ
(0.6 件/年)
横浜ゴム
(2.5 件/年)
ブリヂストン
(4.6 件/年)
5 TOYO TIRE
(0.6 件/年)
ミシュラン
(0.6 件/年)
グッドイヤー
(3.5 件/年)

 

3.2 全対象期間での出願件数

 下図は全対象期間における出願件数上位10社です。

 各期間における出願件数の平均値を結んだ線であらわしています。

 

 直近においてブリヂストンは減少、TOYO TIREは横ばい、住友ゴム工業やブリヂストンアメリカなどが上昇しています。ただし、直近において平均出願件数はいずれも一桁代です。

 

 各期間の平均出願件数を下の表5にまとめました。

 全期間におけるトータル出願件数が多い順に上から表示しています。

 括弧内のパーセントは他社を含めた総出願件数に対する割合です。

<表5>

    平均出願件数
    2000年-2007年 2008年-2015年 2016年-2023年
1 ブリヂストン 1.9 件/年
(19%)
11 件/年
(36%)
4.6 件/年
(11%)
2 TOYO TIRE 0.6 件/年
(6.3%)
7.6 件/年
(25%)
7.9 件/年
(18%)
3 住友ゴム工業 1.3 件/年
(13%)
3.4 件/年
(11%)
8.0 件/年
(19%)
4 ブリヂストン アメリカズ 0 件/年
(0.0%)
0.3 件/年
(0.8%)
5.9 件/年
(14%)
5 横浜ゴム 2.4 件/年
(24%)
2.5 件/年
(8.1%)
1.3 件/年
(2.9%)
6 ミシュラン 0 件/年
(0.0%)
0.8 件/年
(2.4%)
3.1 件/年
(7.3%)
7 グッドイヤー 0 件/年
(0.0%)
0.1 件/年
(0.4%)
3.5 件/年
(8.2%)
8 日産自動車 0 件/年
(0.0%)
0 件/年
(0.0%)
1.9 件/年
(4.4%)
9 シーシーアイ 0.6 件/年
(6.3%)
0.6 件/年
(2%)
0.1 件/年
(0.3%)
10 前田シェルサービス 0.5 件/年
(5.1%)
0.3 件/年
(0.8%)
0 件/年
(0.0%)

 

 次に、上表に示されるデータを上記1の考え方に照らしてみます。

 ①開発開始時期

 ブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、横浜ゴム、シーシーアイ、前田シェルサービスが2000年-2007年には出願しており、早期に開発を開始していることが推測されます。 

 

 ②開発の継続性

 ブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、ブリヂストンアメリカズ、横浜ゴム、ミシュラン、グッドイヤー、シーシーアイが直近を含む、上表の2期間以上連続して出願しており、開発が継続していることが推測されます。

 

 ③開発成果

 ブリヂストンが最も多く出願しており、開発成果がでていることが推測されます。

 

 トータル出願件数は以下の通りです。

<表6>

ブリヂストン 141 件
TOYO TIRE 129 件
住友ゴム工業 101 件
ブリヂストン アメリカズ 49 件
横浜ゴム 49 件

 

4 まとめ:特許銘柄TOP10

 表5に基づく評価は以下の通りです。

 ①開発の開始時期・・ブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、横浜ゴム、シーシーアイ、前田シェルサービスが2000年-2007年には出願しており、早期から開発していることが推測されます。

 ②開発の継続性・・・ブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、ブリヂストンアメリカズ、横浜ゴム、ミシュラン、グッドイヤー、シーシーアイが直近を含む、上表の2期間以上連続して出願しており、開発が継続していることが推測されます。

 ③開発成果・・・住友ゴム工業の特許出願件数が最も多く、開発成果がでていることが推測されます。

 

 上記①の観点だとブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、横浜ゴム、シーシーアイ、前田シェルサービスの開発力が評価できます。

 上記②の観点だとブリヂストン、TOYO TIRE、住友ゴム工業、ブリヂストンアメリカズ、横浜ゴム、ミシュラン、グッドイヤー、シーシーアイの開発力が評価できます。

 上記③の観点だとブリヂストンの開発力が評価できます。

 

 これらをまとめると以下の通りです。

<表7>

    出願情報
    ①開始時期 ②継続性 ③成果
1 ブリヂストン 【5108】 141 件
(21%)
2 TOYO TIRE 【5105】 129 件
(19%)
3 住友ゴム工業 【5110】 101 件
(15%)
4 ブリヂストン アメリカズ    49 件
(7.3%)
5 横浜ゴム 【5101】 49 件
(7.3%)
6 ミシュラン 【ML】   31 件
(4.6%)
7 グッドイヤー 【GT】   29 件
(4.3%)
8 日産自動車 【7201】     15 件
(2.2%)
9 シーシーアイ  11 件
(1.6%)
10 前田シェルサービス    6.0 件
(0.9%)

 上記①の〇は2000年~2007年に出願が確認されたもの
 上記②の〇は出願の継続性が確認されたもの
 上記③成果の割合は総出願数に対するもの

 

 以下、上記結果および結果の詳細を踏まえた総合評価と結論です。

<総合評価>

 累計出願数ではブリヂストンが首位を維持していますが、直近8年(2016-2023年)の推移では住友ゴム工業とTOYO TIREが平均出願件数で上位を独占しており、先行逃げ切りのブリヂストンを住友ゴム・TOYO TIREが猛追している構図がうかがえます。

 

<結論>

・ブリヂストン:米国拠点(アメリカズ)を含め、技術蓄積で他社をリード

・TOYO TIREと住友ゴム工業:開発速度を加速させブリヂストンを猛追

 

5.ご参考

 以下、個々の特許出願明細書中の記載などを参考に技術情報を整理しました。

5.1 エアレスタイヤとは

 エアレスタイヤとは、その名の通り空気(Air)を必要としない(Less)次世代のタイヤ構造のことです。

 タイヤメーカー各社、エアレスタイヤの開発に取組んでいることがネット上でもわかります(検索結果1ページ目にでてきたのは上記評価結果の上位2社でした)。

 ブリヂストン:https://www.bridgestone.co.jp/technology_innovation/air_free/

 TOYO TIRE:https://www.toyotires.co.jp/rd/noair/ 

 

 従来のタイヤは風船のようなものですが、エアレスタイヤは上記各サイトにも示されているように車輪に近い構造をしています。

 ・トレッド(接地面): 一番外側の地面に触れる部分は従来のゴムと同じです。

 ・スポーク(支柱): 空気の代わりに車重を支える心臓部です。特殊な樹脂(熱可塑性樹脂など)でできたひだやスポークが網目状に張り巡らされています。

 ・ハブ: 車体と固定する中心部です。

 このスポークがバネのようにしなやかにたわむことで地面からの衝撃を吸収しつつ重い車体を支えます。

 

5.2 エアレスタイヤの技術課題と解決アプローチ

 エアレスタイヤには以下のような技術課題があると言われています(下表)。

 このような課題が解決されたとき、既存タイヤにとって代わるのかもしれません。

<表8>

技術カテゴリ 具体的な課題内容 解決に効く技術的アプローチ
1. 構造耐久性 連続的なたわみによる樹脂スポークの破断抑制 応力を分散する3次元曲面設計と高弾性熱可塑性樹脂の分子開発
2. 高速走行熱 変形時の内部摩擦による熱を逃がし溶損を防ぐ 自転で風を起こす冷却ファン構造とヒートサイクルに強い低発熱ポリマー
3. 異種材接合 ゴム(接地面)と樹脂(骨格)を剥離せず一体化 分子単位で結ぶ特殊プライマーやSUSYM等の新素材による分子接着
4. 静粛・快適 空気のクッションがないことによる振動音の低減 音を打ち消す不等ピッチスポーク配置や衝撃を逃がすハニカム構造
5. 異物対策 スポーク隙間への泥・雪・石の詰まりを防止 伸縮自在なサイドカバーや遠心力で弾き飛ばすセルフクリーニング形状
6. 量産コスト 複雑な構造を安価かつ高速に大量生産する手法 金型を共通化するモジュール成形や3Dプリンティングによる現地生産

 

5.3 投資妙味(AI予測)

 以下、AIによる技術課題の難易度や投資に関する分析です(下表)。

<表9>

技術カテゴリ 技術難易度 投資妙味 分析
1. 構造耐久性 ★★★ ★★★ 壊れない=世界標準。トラック等の商用車市場を制する必須条件
2. 高速走行熱 ★★★ ★★★ 高速道路へのパスポート。乗用車・物流網を独占する鍵となる技術
3. 異種材接合 ★★☆ ★★☆ 製造の歩留まりと寿命に直結。低コスト・高品質な量産体制の源泉
4. 静粛・快適 ★★☆ ★☆☆ 高級車セグメントの差別化。汎用普及期にはコスト優先になりやすい
5. 異物対策 ★★☆ ★★☆ 完全メンテフリーの完成。自動運転タクシーやシェアカー市場への決定打
6. 量産コスト ★☆☆ ★★☆ 安価な追従者への防壁。圧倒的な製造原価の差を作り利益率を最大化する

 

 時速100kmにも耐え得るエアレスを実用化した企業がガソリン車・EVすべてのタイヤ市場を塗り替えるのでしょう。

 そのためには、タイヤを構成する部材の新素材の開発やタイヤの構造解析、シミュレーション技術あたりが重要な要素になると言えるのかもしれません。

 

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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報

<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許データを独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
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