特許スカウター

最新技術の開発に関わる企業(銘柄)を特許出願に基づき先読み

先端技術に焦点を当て、特許出願数が多くて評価できる銘柄(特許銘柄)を発信中

【開発力評価方法】特許出願に関する情報から技術開発に関わる銘柄を評価

 本サイトでは銘柄(主に製造業を営む企業)の将来性を見る指標として特許出願に関する情報を活用します。

 まず、下の図1をご覧ください。

 これは100年間のダウ・ジョーンズ工業株価平均をあらわします。

 

 
 図1.Dow Jones - DJIA - 100 Year Historical Chart
 出典:MacroTrends(https://www.macrotrends.net/1319/dow-jones-100-year-historical-chart

 

 次に、下の図2をご覧ください。

 これは1883年から2022年における日本国特許庁、米国特許商標庁、欧州特許庁、中国国家知識産権局、韓国特許庁の5庁に特許出願された合計特許出願件数の推移をあらわします。

 

 
 図2.5庁(日米欧中韓)への特許出願件数(1883-2022)
 情報元:World Intellectual Property Indicators 2023(https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp?id=4678&plang=EN

 

 図1、図2ともに時間経過とともに縦軸値が上昇している点で類似します。

 これらの図が本サイト立上げのきっかけです(上図はあくまできっかけで、上図にもとづいて両者に相関があると言う気はさらさらないです)。

 PERとかPBRといった企業分析のための株価指標はおなじみですが、開発に関わるものはあるのでしょうか?(と言うくらい開発に関する分析指標は見たことがありません。せいぜい開発費に関する情報くらい?)
     

 特許出願は製品やサービスの開発の成果を守るためになされるものです。

 技術開発に取り組んできた証拠とも言える特許出願は、企業の将来性を判断する指標の一つになる得ると考えます。

 本記事では、銘柄を評価する方法を考案したので紹介します。

 

 

1 前提条件の確認

 銘柄評価にあたって、まずは前提となる対象企業の事業活動を確認します。

 下の図3は技術開発、商品化、業績反映までのフローイメージです。電池技術について開発がおこなわれ、商品化されるのをざっくりイメージしました。

 

   
 図3.電池の開発から販売までの事業フロー(いらすとやのイラスト使用)

 

 図3に示される流れについて、以下(1)~(4)に説明します。

 

(1)開発

 何年もの時間をかけて技術開発がおこなわれます。

 開発が成功する場合があれば、失敗する場合もあります。ここでは成功したとしましょう。

 

(2)特許出願

 開発の成果物が特許出願されます。

 特許出願は第三者の知られる前になされる必要があります。また、他社に参入されないよう、いくつもの権利で囲い込まれることが多いです。

 

(3)上市

 耐久試験などさまざまなハードルをクリア後、新商品として市場に投入(上市)されます。

 

(4)シェア拡大

 商品がヒットした場合、他社の防波堤となる特許が効いてきます。シェア拡大、業績向上が期待されます。

 

 以上を前提に銘柄をどのように評価するか検討しました。

 

2 銘柄の評価方法の考案

2.1 成功、失敗のシナリオで考えた場合のイメージ

 上記1の事業フローについて、開発などの成功、失敗のシナリオをイメージ化しました(図4)。

 

 図4.開発から業績までのシナリオ

 

 図4に示されるシナリオについて以下(1)~(4)に説明します。

 

(1)開発の成否

 技術開発の成果が得られる場合、成果が得られない場合があります。今回の評価で対象とするのがこの部分です。

 

(2)特許出願の有無

 開発成果は特許出願される場合、社内ノウハウとして秘匿化される場合があります。

 

(3)商品化の有無

 特許出願されても商品化されるかどうかは別の話です。安全性など商品自体の問題や市場性や収益性などビジネス的な問題で商品化されない場合もあります。

 

(4)業績の有無

 商品がヒットするかどうか、その商品の業績への貢献が大きいかどうかによって業績への影響が大きい場合、影響が小さい場合に分けられます。

 

(5)株価が上がるシナリオ

 株価が上がるとしたら、図4を上へ上へと突き進むシナリオが想定される場合でしょう。例えば、新商品がプレスリリースされた場合や決算発表で予想以上の好業績だった場合が考えられます。

 

2.2 企業情報を知り得るタイミング

 下の図5は部外者が企業の情報を知り得るタイミングのイメージです。

 開発に関しては特許出願後がそのタイミングとしてイメージされます。

 商品化前のプレスリリースや決算発表などがイメージされます。

 

 

 図5 企業情報を知り得るタイミングのイメージ

 

 ここで、企業情報を特許出願に関する情報に絞って考えます。

 そうすると、特許出願に関する情報を知り得るタイミングは次のようにイメージされます(図6)。

 

 

 図6.特許出願に関する情報を知り得るタイミングのイメージ

 

 図6では、特許出願に関する情報を知り得るタイミングがかなり短い期間のように見えますが、商品化まで何年もかかるケース(例えば全固体電池)は多いです。すなわち、商品化されるまで継続的に開発がなされていると特許出願も何年にもわたってなされることになります。

 ここで、知り得た特許出願に関する情報から、その企業の技術が他社優位であることを見出すことができれば、その企業の将来性を判断するための有用な情報になり得ます(技術の市場性があることが前提ではあります)。

 

2.3 どこを見て評価するか

 遅くとも特許出願から1年半後には、出願公開公報によって出願書類を見ることができます(特許法第64条)(特許情報プラットフォームから見ることができます)。

 主に以下の情報がわかります。

<表1>

主な項目 わかること
1 出願人 どの企業が技術開発したのか
2 出願日 いつ頃開発されたのか
3 発明の名称 何が開発されたか
4 要約 開発されたものの概要
5 請求の範囲 開発されたものの権利範囲
6 詳細な説明、図面 開発されたものの詳細

 

 ここで、出願された特許について、技術内容(上表の4~6)に基づき個々の発明を評価するというのは、本サイトではあまり現実的ではないと考えます。

 例えば、技術課題を解決するために、A社が技術アプローチa(発明a)をとり、B社が技術アプローチb(発明b)をとったとして、それぞれの特許出願書類に記載された発明aと発明bを見比べて技術の優劣を評価することはそう簡単にできるものではないからです。

 それよりも、本サイトでは開発によって技術を生み出し続ける力を重視します。これを開発力と呼ぶことにします。

 

2.4 指標と評価

 本サイトでは誰が見ても評価が変わらないであろう情報を指標にします。

 具体的には以下①~③に基づいて評価をおこないます。

 ① 最初の出願日
 対象技術の最初の出願日が早いことは、当該技術開発に着手した時期もそれだけ早いと評価できます(図7)。

     
    図7.出願日による開発時期の評価イメージ

 ② 出願され続けた期間
 対象技術が出願されつづけているということは、当該技術の開発も継続していると評価できます(図8)。

   
    図8.出願の継続期間による開発継続性の評価イメージ

 ③ 出願件数
 対象技術の出願件数が多いということは、特許権として保護しようとする成果物がそれだけあると評価できます(図9)。

   
    図9.出願件数による開発成果の評価イメージ

 

 上記①~③の通り、当該指標で技術を生み出す力(開発力)が高いかどうかシンプルに相対評価できます。評価結果も直感的に理解できるものになります。

 また、日々の短期的な株価変動要因と違って、企業の開発力は中長期的な視点における評価指標だと言えます。短期的な株価変動で一喜一憂しなくてよい点で心の安寧につながるかもしれません(?)。

 以上を踏まえ、上記①~③を指標に開発力を評価します。

 

2.5 メリット、デメリット

 上記評価には問題もあります。

 個々の情報を見ていませんし、開発成果物が出願されない場合は評価が低くなるという問題もあります。

 また、対象とする技術の市場性や対象企業の業績に与える影響については個人個人で判断することになります。

 上記指標のメリット、デメリットを以下に整理しました。

<表2>

メリット デメリット

・簡単に評価できる
・客観的情報に基づき評価できる
・直感的な評価結果を取得できる
・中長期的な目線で評価できる

・出願件数が多いだけの企業を過大評価することがある
・開発成果を特許出願しない企業を過小評価することがある
・個々の特許を評価対象としていないので、価値の高い技術や特許を保有する企業を過小評価することがある
・対象技術の市場性の有無や対象企業への業績への影響は個々で判断しなければならない

 

3 まとめ

 最初の出願日(①)、出願継続期間(②)、出願件数(③)を以下の評価指標として技術開発に取組む企業を簡単に相対評価できます。

開発開始時期:最初の出願が古い→早くから開発に着手(古いほど評価高い
開発継続性:出願が継続→技術開発が続いている(継続するほど評価高い)
開発成果:出願件数が多い→開発成果が出ている(成果が多いほど評価高い)

 ただし、企業の過大評価、過小評価、市場性の有無などの注意点もあります。 

 

 

<留意事項>
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