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【2026年版】眼科医療関連銘柄10選|緑内障治療技術|アッヴィ等を特許情報から導出

 今回は、緑内障治療技術についてとりあげます。

 緑内障は白内障(前回記事)とともに大きな目の病の一つに挙げられます。

 年齢とともに意識する人もかなり多いのではないでしょうか。

 緑内障の治療の開発において有望な企業はどこなのか?

 特許出願件数から探ってみました。

 

 結論(簡易版)は以下の通りです。

 ここで、本記事における『有望企業』とは、対象技術の開発時期、継続性および蓄積の3指標から将来の市場独占や他社に対する参入障壁を築けると判断される上位企業(TOP10にランクインする企業)を指します。

<特許銘柄TOP10>(2000年-2023年)(非上場を含む)

本命:アラーガン(現:アッヴィ【ABBV】)

 過去の蓄積による優位性が評価されます。

対抗:ノバルティス、参天製薬

 長期にわたる一貫した継続性と成果から安定した開発力がうかがえます。

1 アラーガン 【ALC】
2 ノバルティス 
3 参天製薬 【7741】
4 メルク・シャープ・アンド・ドーム 
5 サノフイ 【NVS】
6 メルク パテント 
7 ブリストル-マイヤーズ スクイブ 【BLCO】
8 アルコン 
9 エフ.ホフマン-ラ ロシュ 
10 ファイザー 【7780】

 ただし、上記結論は特許検索条件などによって変わってくることがあります。詳細については下記をご確認ください。

 

 

1.本評価の概要

 本評価は特許情報に基づき、対象技術の開発に関わる銘柄(本サイトでは「特許銘柄」と呼びます。)を客観的に導き出そうとするものです。

 本評価については以下の記事で紹介しています。

【開発力評価メソッド】特許出願に関する情報から技術開発に関わる銘柄を評価

 簡単に説明すると、以下の考え方に基づいています。

開発開始時期:最初の出願が古い→早くから開発に着手(古いほど評価高い
開発継続性:出願が継続→技術開発が続いている(継続するほど評価高い)
開発成果:出願件数が多い→開発成果が出ている(成果が多いほど評価高い)

 すなわち、どこよりも早くから出願され(①)、毎年出願されていて(②)、その件数が多い(③)ほど、評価される銘柄だと考えます。

 これらは、技術開発によって技術課題を解決する道筋が見えると、その成果が特許出願されるという前提に立っています。

 

 本サイトでは個々の特許は評価対象にしていません。

 本サイトは特許出願件数を指標にして技術を生み出し続ける力(開発力)を評価するものです。

<注意点>
 特許出願件数に基づく企業の開発力の評価には以下の問題点がありますので十分にご注意ください。
・単に出願件数が多いだけの企業を過大評価することがあります。
・個々の特許を評価対象としていないので、価値の高い技術や特許を保有する企業を過小評価することがあります。
・現実には開発成果が特許出願されない場合があります。
・対象技術が特許出願された場合であっても、特許検索において情報漏れが生じることがあります。
・特許検索において対象技術との関連性の低いノイズ情報を拾ってしまうことがあります。
・対象技術の市場性や対象企業における影響は別個判断が必要です
(まとめると、ざっくりとした評価であり、間違いもあります、ということです。)

 

2.特許銘柄の評価方法

2.1 評価対象

 緑内障に関連する技術が対象です。

 本記事では技術の分野(治療薬に関するものか装置に関するものか、など)の区別はしていません。

 

2.2 特許検索ツール

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

2.3 検索条件

 文献種別:国内文献

 検索キーワード:

  検索項目(ⅰ) 請求の範囲「緑内障」

 検索条件:検索条件(ⅰ) 

 日付指定:出願日 20000101~20231231

 

3.特許銘柄の評価結果

3.1 期間別の出願件数の推移

 2000年~2007年、2008年~2015年、2016年~2023年の3つの区間に分けました。

 各期間における総出願人数と総出願件数は以下の通りです(出願人数は筆頭出願人のみカウント)。

 

  

 各期間の出願件数上位企業は以下の通りです。

(1)2000年~2007年

 出願人数630のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表1です。

<表1>

アラーガン 9.4 件/年
ノバルティス 5.6 件/年
メルク パテント 5.1 件/年
アルコン 4.9 件/年
サノフイ 4.9 件/年

 

(2)2008年~2015年

 出願人数684のうちの上位5社の推移です。 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表2です。

<表2>

アラーガン 15 件/年
メルク・シャープ・アンド・ドーム 5.1 件/年
参天製薬 5.1 件/年
ノバルティス 4.9 件/年
サノフイ 4.5 件/年

 

(3)2016年~2023年

 出願人数984のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表3です。

<表3>

ノバルティス 4.5 件/年
参天製薬 4.5 件/年
アッヴィ 2.9 件/年
興和 2.6 件/年
千寿製薬 2.5 件/年

 

(4)出願上位企業の推移

 下の表4は表1~表3をまとめたものです。

<表4>

  2000年~2007年 2008年~2015年 2016年~2023年
1 アラーガン
(9.4 件/年)
アラーガン
(15 件/年)
ノバルティス
(4.5 件/年)
2 ノバルティス
(5.6 件/年)
メルク・シャープ・アンド・ドーム
(5.1 件/年)
参天製薬
(4.5 件/年)
3 メルク パテント
(5.1 件/年)
参天製薬
(5.1 件/年)
アッヴィ
(2.9 件/年)
4 アルコン
(4.9 件/年)
ノバルティス
(4.9 件/年)
興和
(2.6 件/年)
5 サノフイ
(4.9 件/年)
サノフイ
(4.5 件/年)
千寿製薬
(2.5 件/年)

 

3.2 全対象期間での出願件数

 下図は全対象期間における出願件数上位10社です。

 各期間における出願件数の平均値を結んだ線であらわしています。

 

 全体的には、直近で出願数が減っている企業が多いです。

 

 各期間の平均出願件数を下の表5にまとめました。

 全期間におけるトータル出願件数が多い順に上から表示しています。

 括弧内のパーセントは他社を含めた総出願件数に対する割合です。

<表5>

    平均出願件数
    2000年-2007年 2008年-2015年 2016年-2023年
1 アラーガン 9.4 件/年
(4.3%)
15 件/年
(7.1%)
1.8 件/年
(0.7%)
2 ノバルティス 5.6 件/年
(2.6%)
4.9 件/年
(2%)
4.5 件/年
(1.8%)
3 参天製薬 3.1 件/年
(1.4%)
5.1 件/年
(2.5%)
4.5 件/年
(1.8%)
4 メルク・シャープ・アンド・ドーム 4.8 件/年
(2.2%)
5.1 件/年
(2.5%)
0.1 件/年
(0.1%)
5 サノフイ 4.9 件/年
(2.3%)
4.5 件/年
(2.2%)
0.4 件/年
(0.2%)
6 メルク パテント 5.1 件/年
(2.4%)
2.6 件/年
(1.3%)
0.3 件/年
(0.1%)
7 ブリストル-マイヤーズ スクイブ 1.3 件/年
(0.6%)
3.6 件/年
(1.8%)
1.4 件/年
(0.6%)
8 アルコン 4.9 件/年
(2.3%)
1.3 件/年
(0.6%)
0 件/年
(0.0%)
9 エフ.ホフマン-ラ ロシュ 0.8 件/年
(0.3%)
2.4 件/年
(1.2%)
2.3 件/年
(0.9%)
10 ファイザー 2.0 件/年
(0.9%)
1.5 件/年
(0.7%)
1.6 件/年
(0.7%)

 

 次に、上表に示されるデータを上記1の考え方に照らしてみます。

 ①開発開始時期

 いずれの企業も、2000年-2007年に出願を開始しており、上記期間での大差はありません。 

 

 ②開発の継続性

 9社(アルコン以外)が各全期間中に出願しており、継続性に大差はありません。

 

 ③開発成果

 アラーガンの出願数が最も多いです。

 

 トータル出願件数は以下の通りです。

<表6>

アラーガン 206 件
ノバルティス 120 件
参天製薬 102 件
メルク・シャープ・アンド・ドーム 80 件
サノフイ 78 件

 

4 まとめ:特許銘柄TOP10

 表5に基づく評価は以下の通りです。

 ①開発の開始時期・・・上位10社に大差なし

 ②開発の継続性・・・9社(アルコン以外)に大差なし

 ③開発成果・・・アラーガンがリード

 

 上記①の観点だと上位10社の開発力はいずれも評価できます。

 上記②の観点だと9社(アルコン以外)の開発力はいずれも評価できます。

 上記③の観点だとアラーガンの開発力が高いと評価できます。

 

 これらをまとめると以下の通りです。

<表7>

    出願情報
    ①開始時期 ②継続性 ③成果
1 アラーガン 【ALC】 206 件
(3.9%)
2 ノバルティス  120 件
(2.2%)
3 参天製薬 【7741】 102 件
(1.9%)
4 メルク・シャープ・アンド・ドーム  80 件
(1.5%)
5 サノフイ 【NVS】 78 件
(1.5%)
6 メルク パテント  64 件
(1.2%)
7 ブリストル-マイヤーズ スクイブ 【BLCO】 50 件
(0.9%)
8 アルコン    49 件
(0.9%)
9 エフ.ホフマン-ラ ロシュ  43 件
(0.8%)
10 ファイザー 【7780】 41 件
(0.8%)

 上記①の〇は2000年~2007年に出願が確認されたもの
 上記②の〇は出願の継続性が確認されたもの
 上記③成果の割合は総出願数に対するもの

 

 以下、上記結果および結果の詳細を踏まえた総合評価と結論です。

<総合評価>

 全体として出願件数が減少傾向にあり、成熟的にも見えます。

・アラーガン

 第2期に出願を増加させ、総合的に首位です(現在、買収先のアッヴィがこれを継承し、優位性を保っていると推測されます)。

・ノバルティス、参天製薬

 メガファーマが停滞する中、この2社は全期間で安定した出願を維持しています。

 

<結論>

・本命:アラーガン(現:アッヴィ【ABBV】)

 過去の蓄積による優位性が評価されます。

・対抗:ノバルティス、参天製薬

 長期にわたる一貫した継続性と成果から安定した開発力がうかがえます。

 

5.ご参考

 以下、個々の特許出願明細書中の記載などを参考に技術情報を整理しました。

5.1 緑内障の治療に関わる市場

 日本では40歳以上の成人での緑内障有病率が約5%程度と報告されており、国内の失明原因のトップでもあります。

 参考:公益財団法人 日本眼科医会

 

 40歳以上人口が約6500〜7000万人だとすると、

 5%×(6500〜7000)万人≒325〜350万人

という理解になります。

 

5.2 治療のタイプと将来性予測(AI予測)

 治療のタイプとそれぞれの技術課題や投資妙味についてAIに予測させてみました(下表)。

<表8>

治療タイプ 技術の要点 技術課題 難易度 投資家妙味
薬物療法(点眼薬) 眼圧を下げる化学的制御。慢性管理の基本 継続率低下、副作用、差別化困難 ★★☆☆☆ ★★☆☆☆(安定だが伸びにくい)
レーザー治療(SLTなど) レーザーで房水流出路を刺激 効果持続性、再治療設計 ★★★☆☆ ★★★☆☆(緩やか成長)
従来外科手術 切開による排出路新設 合併症、侵襲性 ★★★★☆ ★☆☆☆☆(人的依存が強く妙味小)
MIGS(低侵襲緑内障手術) 微小デバイスで流出路改善 精密設計、長期成績 ★★★★☆ ★★★★☆(デバイス型手術で妙味あり)
徐放性デバイス・インプラント 薬を長期自動放出 放出制御、生体適合性 ★★★★★ ★★★★★(成功すれば大化け)
AI診断・管理支援 画像・視野をAI解析 精度保証、承認 ★★★★☆ ★★★☆☆(単体では小粒、周辺価値)
再生医療・遺伝子治療 視神経の保護・再生 有効性・安全性 ★★★★★ ★★★★☆(超長期・ハイリスク)

 

 上表で評価が高い「徐放性デバイス・インプラント」というのは、目の中に薬の自動供給装置(薬をしみ出させるだけの小さな固体(チップ・棒・プラグ))を入れ、目薬を毎日ささなくてもよくする治療です。

 

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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報

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