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【2026年版】触媒銘柄10選|水電解・脱炭素・浄化技術|トヨタ自動車等を特許情報から導出

 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、化学反応の効率を左右する触媒技術の重要性が高まっています。

 自動車や工場向けの排ガス浄化は従来技術としてもよく知られていますが、さらに排出されたCO2を回収・転換するカーボンリサイクルや再生可能エネルギーを活用した水電解による水素製造など、その役割が拡大しています。

 触媒開発において有望企業はどこなのか?

 開発成果の裏付けとなる特許出願データから実態を探ってみました。

 

 結論(簡易版)は以下の通りです。

 ここで、本記事における『有望企業』とは、対象技術の開発時期、継続性および蓄積の3指標から将来の市場独占や他社に対する参入障壁を築けると判断される上位企業(TOP10にランクインする企業)を指します。

<特許銘柄TOP10>(2000年-2023年)(非上場を含む)

<総合評価>

有力銘柄

・トヨタ自動車が累計6,491件と2位以下との差が大きいです。全期間を通じてトップを維持しており、触媒技術における独走状態がうかがえます。

リストアップされた上位10社すべてが2000年代前半から出願を開始しており、20年以上にわたる長期的な研究開発の継続性がうかがえます。

多くの国内自動車メーカーが直近で出願件数を減らす中、いすゞ自動車ジョンソン・マッセイの2社は、2016年以降の期間に平均出願件数を伸ばしており、開発への注力がうかがえます。

<結論>

 出願件数に基づく開発成果では、トヨタ自動車が他社をリードしています。

 また、開発の歴史と継続性においては、上位10社すべてが20年以上の先行優位性を有しています。

1 トヨタ自動車 【7203】
2 日産自動車 【7201】
3 本田技研工業 【7267】
4 マツダ 【7261】
5 いすゞ自動車 【7202】
6 デンソー 【6902】
7 三菱自動車工業 【7211】
8 日野自動車 【7205】
9 三菱重工業 【7011】
10 ジョンソン、マッセイ、パブリック 【JMAT】

 ただし、上記結論は特許検索条件などによって変わってくることがあります。詳細については下記をご確認ください。

 

 

1.本評価の概要

 本評価は特許情報に基づき、対象技術の開発に関わる銘柄(本サイトでは「特許銘柄」と呼びます。)を客観的に導き出そうとするものです。

 本評価については以下の記事で紹介しています。

【開発力評価メソッド】特許出願に関する情報から技術開発に関わる銘柄を評価

 簡単に説明すると、以下の考え方に基づいています。

開発開始時期:最初の出願が古い→早くから開発に着手(古いほど評価高い
開発継続性:出願が継続→技術開発が続いている(継続するほど評価高い)
開発成果:出願件数が多い→開発成果が出ている(成果が多いほど評価高い)

 すなわち、どこよりも早くから出願され(①)、毎年出願されていて(②)、その件数が多い(③)ほど、評価される銘柄だと考えます。

 これらは、技術開発によって技術課題を解決する道筋が見えると、その成果が特許出願されるという前提に立っています。

 

 本サイトでは個々の特許は評価対象にしていません。

 本サイトは特許出願件数を指標にして技術を生み出し続ける力(開発力)を評価するものです。

<注意点>
 特許出願件数に基づく企業の開発力の評価には以下の問題点がありますので十分にご注意ください。
・単に出願件数が多いだけの企業を過大評価することがあります。
・個々の特許を評価対象としていないので、価値の高い技術や特許を保有する企業を過小評価することがあります。
・現実には開発成果が特許出願されない場合があります。
・対象技術が特許出願された場合であっても、特許検索において情報漏れが生じることがあります。
・特許検索において対象技術との関連性の低いノイズ情報を拾ってしまうことがあります。
・対象技術の市場性や対象企業における影響は別個判断が必要です
(まとめると、ざっくりとした評価であり、間違いもあります、ということです。)

 

2.特許銘柄の評価方法

2.1 評価対象

 水電解、脱炭素、排ガス浄化を目的とした触媒が対象です。

 

2.2 特許検索ツール

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

2.3 検索条件

 文献種別:国内文献

 検索キーワード:

  検索項目(ⅰ) 請求の範囲「水電解 二酸化炭素 CO2 排気 排ガス」

  検索項目(ⅱ) 請求の範囲「触媒」

 検索条件:検索条件(ⅰ) AND(ⅱ)

 日付指定:出願日 20000101~20231231

 

3.特許銘柄の評価結果

3.1 期間別の出願件数の推移

 2000年~2007年、2008年~2015年、2016年~2023年の3つの区間に分けました。

 各期間における総出願人数と総出願件数は以下の通りです(出願人数は筆頭出願人のみカウント)。

 

  

 各期間の出願件数上位企業は以下の通りです。

(1)2000年~2007年

 出願人数1945のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表1です。

<表1>

トヨタ自動車 372 件/年
日産自動車 123 件/年
本田技研工業 52 件/年
マツダ 51 件/年
デンソー 44 件/年

 

 

(2)2008年~2015年

 出願人数1588のうちの上位5社の推移です。 

 


 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表2です。

<表2>

トヨタ自動車 302 件/年
本田技研工業 52 件/年
いすゞ自動車 45 件/年
マツダ 44 件/年
日産自動車 41 件/年

 

(3)2016年~2023年

 出願人数15280のうちの上位5社の推移です。

 

 

 上図の出願件数を企業ごとに平均化したのが下の表3です。

<表3>

トヨタ自動車 138 件/年
いすゞ自動車 48 件/年
ジョンソン、マッセイ、パブリック 32 件/年
ビーエーエスエフ 32 件/年
マツダ 28 件/年

 

 

(4)出願上位企業の推移

 下の表4は表1~表3をまとめたものです。

<表4>

トヨタ自動車 6491 件
日産自動車 1380 件
本田技研工業 1010 件
マツダ 979 件
いすゞ自動車 949 件

 

3.2 全対象期間での出願件数

 下図は全対象期間における出願件数上位10社です。

 各期間における出願件数の平均値を結んだ線であらわしています。

 

 トヨタ自動車、日産自動車などが直近にかけて減少傾向です。

 

 各期間の平均出願件数を下の表5にまとめました。

 全期間におけるトータル出願件数が多い順に上から表示しています。

 括弧内のパーセントは他社を含めた総出願件数に対する割合です。

<表5>

    平均出願件数
    2000年-2007年 2008年-2015年 2016年-2023年
1 トヨタ自動車 372 件/年
(20%)
302 件/年
(20%)
138 件/年
(13.4%)
2 日産自動車 123 件/年
(6.6%)
41 件/年
(2.8%)
8.5 件/年
(0.8%)
3 本田技研工業 52 件/年
(2.8%)
52 件/年
(3.5%)
23 件/年
(2.2%)
4 マツダ 51 件/年
(2.7%)
44 件/年
(2.9%)
28 件/年
(2.7%)
5 いすゞ自動車 25 件/年
(1.4%)
45 件/年
(3.0%)
48 件/年
(4.7%)
6 デンソー 44 件/年
(2.4%)
36 件/年
(2.4%)
16 件/年
(1.6%)
7 三菱自動車工業 38 件/年
(2.0%)
33 件/年
(2.2%)
8.3 件/年
(0.8%)
8 日野自動車 39 件/年
(2.1%)
21 件/年
(1.4%)
8.9 件/年
(0.9%)
9 三菱重工業 31 件/年
(1.6%)
22 件/年
(1.5%)
5.0 件/年
(0.5%)
10 ジョンソン、マッセイ、パブリック 6.4 件/年
(0.3%)
18 件/年
(1.2%)
32 件/年
(3.1%)

 

 次に、上表に示されるデータを上記1の考え方に照らしてみます。

 ①開発開始時期

 全10社が2000年-2007年に出願を開始しており、開発時期の早さがうかがえます。 

 

 ②開発の継続性

 全10社が全期間で開発を継続していることがうかがえます。 

 

 ③開発成果

 トヨタ自動車の出願数が最も多く、開発成果がでていることがうかがえます。

 

 トータル出願件数は以下の通りです。

<表6>

トヨタ自動車 6491 件
日産自動車 1380 件
本田技研工業 1010 件
マツダ 979 件
いすゞ自動車 949 件

 

4 まとめ:特許銘柄TOP10

 表5に基づく評価は以下の通りです。

 ①開発の開始時期・・・全10社が早期に開発

 ②開発の継続性・・・全10社が継続的に開発

 ③開発成果・・・トヨタ自動車に多くの成果

 

 上記①の観点だと全10社の開発力はいずれも評価できます。

 上記②の観点だと全10社の開発力はいずれも評価できます。

 上記③の観点だとトヨタ自動車の開発力が高いと評価できます。

 

 これらをまとめると以下の通りです。

<表7>

    出願情報
    ①開始時期 ②継続性 ③成果
1 トヨタ自動車 【7203】 6491 件
(19%)
2 日産自動車 【7201】 1380 件
(3.9%)
3 本田技研工業 【7267】 1010 件
(2.9%)
4 マツダ 【7261】 979 件
(2.8%)
5 いすゞ自動車 【7202】 949 件
(2.7%)
6 デンソー 【6902】 763 件
(2.2%)
7 三菱自動車工業 【7211】 629 件
(1.8%)
8 日野自動車 【7205】 551 件
(1.6%)
9 三菱重工業 【7011】 462 件
(1.3%)
10 ジョンソン、マッセイ、パブリック 【JMAT】 448 件
(1.3%)

 上記①の〇は2000年~2007年に出願が確認されたもの
 上記②の〇は出願の継続性が確認されたもの
 上記③成果の割合は総出願数に対するもの

 

 以下、上記結果および結果の詳細を踏まえた総合評価と結論です。

<総合評価>

最多出願:トヨタ自動車

 累計6,491件と2位以下との差が大きいです。全期間を通じてトップを維持しており、触媒技術における独走状態がうかがえます。

日産自動車・本田技研工業等、上位10社

 リストアップされた上位10社すべてが2000年代前半から出願を開始しており、20年以上にわたる長期的な研究開発の継続性がうかがえます。

いすゞ自動車、ジョンソン・マッセイ

 多くの国内自動車メーカーが直近で出願件数を減らす中、いすゞ自動車とジョンソン・マッセイ(英)の2社は、2016年以降の期間に平均出願件数を伸ばしており、開発への注力がうかがえます。

<結論>

 出願件数に基づく開発成果では、トヨタ自動車が他社をリードしています。

 また、開発の歴史と継続性においては、上位10社すべてが20年以上の先行優位性を有しています。

 

5.ご参考

 以下、個々の特許出願明細書中の記載などを参考に技術情報を整理しました。

5.1 触媒とは

 触媒とは、「それ自体は消費されないが化学反応の速度を著しく向上させる物質」のことです。

 下図のように、触媒はエネルギー消費を抑えながら目的の物質(水素や浄化されたガスなど)を効率的に生み出す役割を果たしています。

 

 

 以下のように類型化できます。

<表8>

分類 概要 主な特徴 代表的な活用例
不均一系触媒 反応物(ガス・液体)と触媒(固形)の状態が異なるもの 耐久性が高く、分離・回収が容易。大規模な工業プロセスに適している。 排ガス浄化、水電解、燃料電池、アンモニア合成
均一系触媒 反応物と触媒が同じ相(主に液相)に溶け込んでいるもの 反応物と触媒が均一に混ざるため、反応の効率(選択性)が非常に高い。 医薬品製造、プラスチック合成、精密化学品
生物系触媒(酵素) 生体内で起こる化学反応を助けるタンパク質 常温・常圧で特定の物質のみを正確に反応させる極めて高い選択性を持つ。 発酵食品、バイオ燃料、洗剤、生体内代謝

 本記事では不均一系触媒に関する開発成果が主にヒットしたと考えられます。

 

5.2 触媒開発の将来性推測

 投資妙味等についてAIに予測させました(下表)。

<表9>

領域 技術的な
開発余地
解決時の
収益インパクト
投資妙味の性質 評価のポイント
排ガス浄化 バリュー型 成熟技術。コスト競争力とシェア維持の基盤。
水電解
(水素)
グロース型 次世代エネルギーの原価低減に直結する主戦場。
CO2変換 先行投資型 長期的な排出権コストの回避と新市場創出の鍵。

 

 排ガス浄化は成熟した収益基盤となるバリュー型、水電解は水素コスト低減に直結するグロース型、CO2変換は長期的な新市場を創出する先行投資型としてまとめられています。領域ごとに投資妙味や期待リターンが異なります。

 

<素材>

【2026年版】触媒銘柄10選|水電解・脱炭素・浄化技術(総合技術)

【2026年版】触媒銘柄10選|水電解技術

 

<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報

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